いまさらDC版『ボーダーダウン』

なんか今さらなんですが、ものすごい楽しいですねコレ。ゲーセンでチョイと遊んだ時には全然面白さに気づかなかった。
しかし、プレイヤーによって「得点を稼ぐこと」で快感を得る者もいれば、稼ぎを強要されることで嫌悪感を抱いてしまう者もいるので、この相反する方向性をシステムとして成立させるのは難しいものですな。楽しく撃ちまくってプレイしているだけなのに、「ノルマ未達成なのでボーダーを選択できません」と、理不尽に責められている感覚。
ボーダーダウン』では特に、「死ぬとボーダーが下がる(感覚としては別の面に飛ばされるようにも思える)」システムが作品の核となっているものの、このシステムのせいで「今死んだ要因をその場で生かせない」のがツラい。学習と反復にタイムラグが発生するために初心者〜中級者を徒に阻害しているように見えてしまう。
色のイメージから「グリーン/イエローよりもレッドが難しそうに見える」のですが、実際は1面を除いてグリーンが最も難しいのが真実。とにかく残機を減らそうとする狙いの「アーケード主義のレベル設定」は理解できなくもないですが、これも初心者の「やる気阻害」に拍車をかけています(イエローで死んだんだからレッドで生き残れるわけないだろ、と感じさせてしまう)。
あと、「ノーミスで進んだ場合のレッド」と、「死んで落ちた場合のレッド」の難易度が違いすぎるのも厳しい。全然攻略が安定しない。かと言ってアドリブプレイでは絶対に生き残れないのも事実。せっかく家庭用なんだし、別にスコアなんか気にしないから「その場復活で固定ボーダー制の通しプレイ」とか遊ばせて欲しかったですよ。ボーダーチェンジ時の読み込み時間もプレイ感覚のテンポ悪化に影響してるし。
初期のクレジット数が3しかないのも厳しすぎ。プレイを進めていった結果9クレジットまで増えたのでエンディング見れましたが、最終面だけで6クレジットぐらい使っちゃう始末だし。プラクティスモードでは最終面だけが練習できないようになってるのも不満。
で、リミックスモードなんですが、全然やる気になんないです。難しすぎ。アーケードモード以上に「稼ぎを強要する」構成にゲンナリ。追加された音楽聴きたいのに全然聴かせてくれない。
……しかし、家庭用移植の際に「より高難度の新モードを付ける」のは、誰が喜ぶんでしょうかね? PS2版『エスプガルーダ』も同様の感覚を受けましたが、購入者の半分にも満たない上級スコアラーのためだけの新モードなんて、何故入れる必要があるんでしょうか? 「単なる移植」ではセールスポイントが弱い? ゲーセン版では表現しきれなかった? 製作者側が自己満足するために? んなものいらねえ。
もともと、こんなソフト買うのはマニアだけだろ、って? それも正論。
しかし、「ゲーセンだと難しくてできない」、「家でコンティニューしまくってでもエンディングが見たい」、「Yack.氏の素晴らしい曲が、どんなシーンで流れるものなのか確認したい」という需要で買う者にとって、この仕様は厳しすぎる。
「全体的な難易度が高い」コトではなく、いろんな面で許容範囲の狭いシステム/インターフェイスが、シューティングゲームのプレイヤー層を狭めているのだろうか? それは言い過ぎか。
ともかく、そこら辺の「もう1度やりたいとすら思えない新作」より、格段に作りこまれていて面白いからこそ文句が言いたくなる。このジレンマをどうにかしたい自分ながら、つい言ってしまう。それが「愛」だと解ってくれる製作者は少ないんだろうけど、なんとかして今後もこういう意見を製作者側にぶつけていきたいなー。